うたげと孤心:日本的文化の作り方

うたげと孤心

日本の優れた文学のカルチャーにはうたげと孤心のどちらも必要だったのではないかというのを過去の和歌などの創出方法や歴史を中心に解説してくれている。

これは普段の事業活動にも通じるものはある気がする、すべての物事は宴ばかりでもだめだし、孤心だけでも何事もうまくいかない。そのどちらもが緊張関係にあることによって見てくるものがあるのではないか。

例えばオフィスなどにおいてもそうだと思う。リモートワークはどちらかというと孤心のバランスが高くなるが、それだけでは良い事業がつくりづらい。リモートでも”うたげ”のカルチャー、合す文化を上手くつくれないといけない。コロナ以降このうたげ文化は少し減ったような気もしている(自分だけかもしれないが)

もしくはVtuber/YouTuberやHiphopアーティストのようなコラボ文化みたいなのものこの合す文化の中ででてくるものはあるのに近い気はしている。ただコラボするためには自分のカルチャー/個性というものを自覚的に意識しないといけないようになるみたいなのはわかりやすい気がする。

こうした東洋的な感覚における事業の作り方や、制作活動というのはいまの日本においてもヒントになるものは多いのではないか。そういったものを古典ではあるが、過去の日本のクリエイティブに目をむけることによって気づくことも多々あるのではないかということを意識することができた本であった。

現実には、「合す」ための場のまっただ中で、いやおうなしに「孤心」に還らざるを得ないことを痛切に自覚し、それを徹して行なった人間だけが、瞠目すべき作品をつくった。しかも、不思議なことに、「孤心」だけにとじこもってゆくと、作品はやはり色褪せた。「合す」意志と「孤心に還る」意志との間に、戦闘的な緊張、そして牽引力が働いているかぎりにおいて、作品は稀有の輝きを発した。

日本的美意識が「合わす」原理として捉えられ、「合わす」ための場すなわち「うたげ」のまっただ中で、「いやおうなしに「孤心」に還らざるを得ないことを痛切に自覚し、それを徹して行なった人間だけが、瞠目すべき作品をつくった」として、「うたげと孤心」の主題と結びつけられている。